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バンコク在住のdappeneによるどーでもいい話


by dappene
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魅惑のスーパーマーケット第1章【海老戦争編】

このシリーズではタイのスーパーに並ぶエキサイティングな商品群を紹介する。

海老戦争

以前、CSのヒストリーチャンネルで「コーラ戦争」なるものを観た。コーラ誕生から、コカコーラ社とペプシ社の壮絶な覇権争いを丁寧に綴った、傑作ドキュメンタリーであった。ここ、タイでも同じような過酷な競争が繰り広げられており、その一部を紹介する・・・というのが【戦争編】の趣旨だ。

まずはこれを見てもらいたい。
魅惑のスーパーマーケット第1章【海老戦争編】_d0022325_22481853.jpg

これはタイのスーパーならどこでも見かけられる一般的な風景である。日本人には少々違和感があると思う。えびせんらしきものが何種類もあるからだ。

日本ではえびせんはカルビーの専売特許、決して湖池屋はその領域に争いをしかけない。しかし、ここではそうはいかない。写真のように、極めて似たパッケージの商品が先人の聖域に躊躇なく進入してくる。

日本ではこのような裁判記録がある。
◆ 1月15日 ハウスvsエスビー パッケージ酷似事件 東京地裁/和解
ハウス食品は、エスビー食品の「とろけるカレー」のパッケージデザインがハウスの「こくまろカレー」に酷似しているとして、不正競争防止法に基づいて東京地裁にデザインの使用差し止めを求めた訴訟で、エスビーと和解したと発表した。和解は、(1) エスビーは2月末以降、今のデザインの商品を出荷しない (2) ハウスはエスビーが新しく用いるデザインに異議を申し立てないの内容で、東京地裁の和解勧告を受け入れた。

魅惑のスーパーマーケット第1章【海老戦争編】_d0022325_2315555.jpg

このように生ぬるい保護法がまかり通っている日本では、司法の権力に屈し、模倣者が戦わずして敗北するという例もあるのだが、ここタイでの競争は激烈を極める。

温室、日本から進出したカルビーは、その独自性・商品力に自信をもつあまり、現地でのマーケティング活動をおろそかにしてようだ。商品名が「かっぱえびせん」だからだ。
魅惑のスーパーマーケット第1章【海老戦争編】_d0022325_239302.jpg

当たり前じゃん!と思うことなかれ・・・このえびせんに真っ向勝負を挑んだ商品はこれなのだ!
魅惑のスーパーマーケット第1章【海老戦争編】_d0022325_23102650.jpg

「はなみ」
はなみなのだ。えびせんの商品名が花見。こんな発想、日本人には不可能だ。しかし、このシンプルかつ認知度の高い日本語に比べて、「かっぱえびせん」という名前の覚えにくさ、発音しにくさとはいかがなものだろう!?(そもそも日本人でも意味がわからない)・・・どちらが日本から来たお菓子かと問われれば、はなみに軍配があがるであろう。

後発で捨て身の勝負を挑む「はなみ」は、通常のえび味に続いて、なんとチリ味のえびせんを発売する。これでは「えびせん」なのか「チリせん」なのかわからなくなるが、意外にもこれがヒット。タイ人にとってはこっちの味の方がスタンダードになり、「はなみ」=えびせんなのである。巨人カルビーが蟻に敗れたのだ。
(ちなみにカルビーはポテトチップス市場でもフリトレーに惨敗)

更にわかりやすいネーミングで勝負を挑んだのがこれだ!
魅惑のスーパーマーケット第1章【海老戦争編】_d0022325_2339322.jpg

「ありがとう」である。

あまりにも有名な日本語で参戦したが、これはあまりメジャーにはなっていない。
まだまだ時間がかかるだろう。

そんな中、斬新な切り口で勝負を挑む愚か者を発見した。
魅惑のスーパーマーケット第1章【海老戦争編】_d0022325_0114385.jpg

「ひろし」である。

戦隊ヒーロー物を全面に押し出し、子供の興味を引きつつ、「ひろし」というなんともいえないニュアンスの男の名前で奥方の気を引こうとでもいうのであろうか?かのような暴挙がうけるはずがなく、かなり隅の方に追いやられていた。

しかし、その売れなさ加減や哀愁がどこぞの芸人とイメージが重なり、なんとも応援したくなってくるから不思議だ。
by dappene | 2005-06-11 23:43 | Bangkok